閑静な住宅地に立つ夫婦おふたりの家。構造材には秩父の木が使われています。とはいえ、柱や梁をことさら見せるのではなく、モダンで控え目な佇まい。夫妻は当初、木造の家を強く望んだわけではなかったそうです。
つくり手を選ぶ際に思い浮かんだのが、前々から瀬田のモデルハウスのデザイン性に惹かれていた伊佐ホームズ。本社を訪ねたら、山との連携を説明するパネルがありました。「秩父には行ったことがなかったけれど、近くの山の木で家を建てるという伊佐ホームズの方針に共感を覚えました」と奥様は振り返ります。
還暦前後のご夫妻は、この家は終の棲家になると予想しています。そして、初めて自分たちの思い通りに建てる家となりました。望んだのは、シンプルな家。装飾はできるだけ少なく、機能を重視する一方で、素材やデザインは上質なものを選びました。ダイニングは仕事場にもなるよう、昇降可能なテーブル、ウィルクハーンのオフィス用チェアを採用。キッチンの収納などは、奥様の使い勝手に合わせて大工が手づくりしました。細部まで心を配った家には、穏やかで静謐な空気が満ちています。
当然、見えないところにも妥協はしていません。伊佐ホームズが使う構造材は、秩父の山の木の中から厳選した最高グレードの「SPウッド」だけ。これを、壁の中に隠れてしまう柱や梁にも使用しています。だから、家の骨組みが露わになる上棟の光景は夫妻にとってうれしいサプライズでした。「素人目にも色や艶が素晴らしく良い木だとわかりました」とご主人は頬を緩めます。建築のプロである親族も太鼓判を押しました。
「これだけの材料を使っていても木造の家の代金として納得のいく価格で収まったのは、秩父の山との連携があるからだと実感しました」と、ご主人。
この家で、上質な秩父材を体感できる空間がリビングです。艶のある穏やかな色調の垂木が真っ直ぐ庭に向かい、軒裏まで伸びていきます。軒先と縁側が切り取る初夏の庭は、一幅の絵のよう。規則正しい垂木の配置が、軽快なリズムを加えています。
「やはり木の家にして良かった。五感に訴る心地よさがあります」と、夫妻は口を揃えます。