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長い海外生活を経て還ってきたのは、
やはり「日本らしい」家

「中庭を囲む二世帯住宅」

國分文也さん、マリ子さんご一家を訪ねて

國分文也さん、マリ子さんご一家を訪ねて

丸紅社長・國分文也さんのご自宅は、静かな住宅地の一角。築30年を越えたご自身の実家を、5年前に建て替えたものです。
現代に似合う日本の家を思い描き、ようやく出会ったのが伊佐ホームズ。
そこでわかった伊佐裕との、さまざまなご縁にも驚くばかりです。
どこにいても家族1人ひとりが心地よく過ごせるようにとご夫妻が思いをこめた住まいには、豊かな時間が流れていました。

國分さんのお住まいを訪ね、玄関扉を開けると、誰もがきっと「わあ〜っ」と声を上げるはずです。玄関の正面に1枚ガラスの大きな窓が開け、その向こうにはたっぷりとしたデッキと庭の緑。豊かに盛られたお花もやさしい光を浴びています。

出迎えてくれた奥さまのマリ子さんを追い抜くように、愛犬のメイちゃん登場。ぶんぶんとしっぽを振っての大歓迎です。
「お客さん大好きなの。可愛いでしょう?」

2階リビングから中庭を見下ろしたところ。部屋と部屋がデッキを介してつながっています。

外観はシンプルで、扉を開けると、一番上の写真のような風景となります。

マリ子さんとメイちゃんについて、さっそく2階へ。窓辺に置かれた仏頭の美しさに心惹かれながら奥に進めば、広いリビングダイニングがあります。ここは家族が集まるだけでなく、お客さまをもてなす場所。白聚楽の壁や蒲の天井がつくる和の雰囲気の中、海外で求めたという家具や絵、置物などが気持ちよく調和しています。
「僕はトータルで19年、家族では10年ほど海外暮らしでした」と文也さん。

玄関に飾った絵はアンドリュー・ワイエス。最初にアメリカに赴任した1984年頃、お2人で美術館に行って買った大切な1枚。

階段上のホールにはカンボジアの仏頭。窓の外の景色ともよく合います。

ダイニングに置いてある薬箪笥は、香港で求めたアンティーク。小さな引き出しがたくさんあって便利そう。横には中国の椅子を置いています。

サイドボードはアメリカ生活で使っていたもの。テーブルはシンガポール、薬箪笥は香港、壁の絵と写真はミャンマーやベトナム、インドネシア……。そんな思い出深い品々とともに、マリ子さんがアレンジするきれいな生花もそこここに。
「お花が大好き。いつもあちこちに飾っています。葉っぱは庭から切ってくるの」

お二人のなによりの自慢は窓からの眺めです。家並みの間に見えるのは神社の森。中庭の木々から近隣の植栽へと続く緑は、まっすぐに鎮守の森へとつながっています。
文也さんは「家ができて、この景色を見た時は感動しました。外に大きく開けた心地よさ。いい風も通ります」と話します。

ダイニングテーブルにも可憐な百合のアレンジメント。

深いブルーが印象的な作品は、川面を行く二葉の舟の絵。文也さんがベトナムで見つけたお気に入りです。手前には長年、フラワーアレンジメントを習っているというマリ子さんの花あしらいが。

サイドボードの上に飾ったどっしりとした土瓶は、昔、漢方薬を煎じたものでしょうか。

長い海外生活を経て
「日本の家」が理想に

ここはもともと文也さんのご実家。神社ももちろん小さいころからなじんだ場所です。ご両親が建てた家も築31年になり、そろそろ……と考えたのは8年ほど前のことでした。
「希望は日本らしい家。海外で一戸建やマンションなどいろいろ住んできた中で、やっぱり住みたいのは日本の家だなとイメージが固まりました」というご夫妻。

多忙な文也さんに替わり、住宅メーカー、設計事務所などさまざま回ったマリ子さん。けれども、思い描く家に合うところはいっこうに見つかりません。そうして探し続けて2年が過ぎたころ、相談した知人に教わったのが伊佐ホームズでした。

「瀬田の家を見たとたん、あ、これだ!と。日本らしい落ち着きがあってモダン。もうその場ですぐに主人に電話したんです」
翌週末にはお二人で瀬田と駒沢へ。文也さんも「方形の家や離れ、すべて素晴らしいと思いました」と振り返ります。

リビングダイニングはオープンなキッチンカウンターから見渡せるつくり。キッチンで淹れた紅茶を頂戴しました。

しかも、この出会いには大きな驚きがありました。お勤め先をうかがった伊佐裕はびっくり。実は伊佐も独立前まで丸紅に勤務していたのです。部門は違っても、共通の知り合いは数多くいます。それだけではありません。大学も同窓で、伊佐の美術部の友人は文也さんのいとこ。息子の結婚相手は文也さんとも知人。さらにさらに……と、つながりはいくつもありました。
「家づくりって本当にご縁ですね。出会うべくして出会ったのかもしれません」

天井に張った蒲が和の風情。中国の扉を使ったローテーブルには、故宮博物館で買った馬と、お父さま手作りのやきものが。横の広い窓からは、緑の回廊が見通せます。

家族の暮らしに添い
変化できる住まい

今の生活しやすさだけでなく、10年20年後の暮らし方まできめ細かく考えたという文也さん。建てた当時は、ご夫妻とお父さま、長女、次男の5人暮らしでした。
「半分を賃貸しようかと思ったこともあったし、いろいろ案を変え、設計図は26回くらい変えてもらいました。おかげで最後は、これしかない!というものになりました」

2階はリビングダイニング、キッチンと、専用バルコニーの付いた浴室、和室。なかでも文也さんのお気に入りは、書斎にしている4畳の和室です。窓の前には造り付けの細長いデスクがあり、萩を張った低めの天井も茶室のようでとても落ち着きます。
「なんともいえず居心地がいい。畳で昼寝もできます。土日はほとんどここにいます」

ダイニング脇の扉を開け、小さな廊下を渡った先にある書斎。窓辺のカウンターデスクは掘りごたつ式になっています。

1階の玄関を入った左手は、独立したキッチンや浴室、トイレを備えた洋間があります。ここはお父さまの居室としてつくったもの。デッキを隔てた主寝室から、互いの様子が感じられるように考えたそうです。

お父さまが使っていた1階の洋間。書斎と同様に、壁は漆喰、天井には萩が張ってあります。デッキの向こうは主寝室。

お父さまが亡くなり、長女も嫁いだ今は、次男との3人。お子さんが家族で同居するようになったら、玄関ホールに出入り口をつくればこのまま二世帯住宅になります。
「先々は使い方も変えていけるし、本当にくつろげます。5年たった今も、どんな素敵な旅館に行っても、うちがいちばんいいねって話すんですよ」とご夫妻。おいとまの際、伊佐に出会う前にイメージしていた理想の家は?とお聞きすると……。
「この家!」。お二人の大きな笑顔がこぼれました。

前列左が國分さんご夫妻、右は伊佐裕。後列左から営業担当だった生出司、設計を担当した大塚隆。当時の思い出を語り合いました。

—『伊佐通信』4号(2015年)より転載—
※内容は掲載時のものです