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大久保ろりえさんの「だまこ鍋」

三世帯で囲む、
秋田のあったか郷土料理

三世帯で囲む、
秋田のあったか郷土料理

「八雲 みんなの家」施主である大久保家はろりえさん一家、ご主人の両親、叔父様の三世帯が
各フロアに別れて同居されています。
毎晩一緒に囲む食卓には穫れたて野菜が並び、家族の会話も弾みます!

「家で食べる野菜は、ほとんど買ったことがないんですよ」とおっしゃる大久保家のキッチンには、まさに今、近くの畑でとったばかり、という元気のよい野菜たちが並んでいます。

大久保ろりえさんの実家は秋田県の米農家。妹さんも熊本県で有機野菜を栽培しているとのこと。そこから定期的に米や野菜が届けられ、大久保家の食卓に上るそうです。
さらに福岡県糸島で知る人ぞ知るタルト工房「スモールバレー デザートカンパニー」を営む叔母さまからは、季節のタルトも送られてきて、大久保家の食卓は、家族の温もりがいっぱいです。

熊本から送られてきた無農薬有機野菜。泥付きにんじんの大きさにびっくり。

タルト工房「スモールバレー デザートカンパニー」から届いた紅玉のタルト。甘さが絶妙!

「まずは1階で娘のゆにが、熊本から送られてきたにんじんで料理をつくります」
そうそう、1階にはろりえさんのご主人和彦さんのご両親がお住まいで、6歳のゆにちゃんはしょっちゅう出入りしているとか。3階には和彦さんの叔父様も住んでいます。3年前に古い家を伊佐ホームズで建て直すにあたり、3世帯で住むことにしたそうです。エレベーターも設置して、老後への備えもばっちりです。

ご先祖様が植えられた柿の木に見守られ、大久保家3世帯の食卓が賑わいます。

ゆにちゃんは、料理教室に通うじいじとキッチンに立って、仲良く料理をつくります。隣ではばあばが、タイミングや量をアドバイス。お庭には、じいじお手製のブランコもあります。

2階に戻ると、ろりえさんが手際良く鍋に具材を入れています。
「実家では鶏も飼っていて、産卵しなくなった鶏を絞めてさばいたものが送られてくるんですよ」
確かに、料理助手担当の和彦さんがハサミで剥いでいた鶏肉の皮には、ほんの少し毛のようなものが残っていました。卵もお肉も新鮮なものを頂けるなんて、羨ましいかぎりです。

広い2階のリビングは大きな窓から燦々と太陽の光が注がれます。

対面式カウンターキッチンの引き出し棚は背後にあるスライドドア式収納棚と表面の素材を揃えてあります。スライドドアを全て閉めると冷蔵庫まで隠れてスッキリ。

「こちらもつまんでくださいね」と出されたのは、3種類の干し柿。和彦さんのひいおじいさまが植えた庭の柿の木の恵みと、秋田から送られたもの、ゆにちゃんの小学校で食育の一環でつくられたものの食べ比べです。乾燥具合によって微妙にかたさが異なり、自然の甘みでどれも美味しい!

3種類の干し柿の食べ比べ。

ゆにちゃんのじいじの弟さんのお部屋は眺めの良い3階にあります。大好きな飛行機の模型に囲まれてゆったりとした暮らしぶり。

そうこうしているうちに、根付きのセリをトッピングした熱々のだまこ鍋ができあがりました。3世帯計6人がテーブルについて、いただきます。ほうれん草とにんじんのゴマ和え八方だし入り、かぶの塩ゆず漬け、長芋のステーキも並びました。

長芋のステーキ。長芋のひげ根をガスの火で焼き切り、皮付きのまま輪切りにしてなたね油で両面を焼く。味付けは塩としょうゆ、最後にバターで香りづけ。

奥は、ほうれん草と千切りにしたにんじんをさっとゆで、油揚げとすりごま、八方だしで和えたもの。手前は、切ったかぶに「塩ゆず」を混ぜて4時間ほど置いたつけもの。

福岡に住む叔母様のタルト工房の庭になっていたレモンとゆず。ゆずを皮ごと輪切りにし、15〜20%の塩を混ぜると「塩ゆず」に。水分が出るので最初の1週間は毎日かき混ぜて、冷蔵庫で1年はもつといいます。

ろりえさんご自慢のだまこ鍋は、とりガラスープのお出汁で、濃厚なのにあっさりしたいいお味が出て、野菜の味を引き立てます。囲炉裏代わりにオーブンで焼いた丸いだまこも、煮崩れせずにスープがしみこんでいます。米をつぶして丸めたものをだまこ、それを棒に刺したものをきりたんぽと呼ぶそうです。

驚いたのはとり肉のしっかりした歯ごたえ!ふだん食べているものとは全然違うことにびっくり。にんじんしりしりも、にんじんが新鮮なせいか甘みがあり、ゆにちゃんもぱくぱく食べています。無農薬栽培なのでちょっと泥を落として皮ごといただけるのも嬉しいかぎり。

「基本的に夕食はみんな一緒に1階で頂きます。朗らかなお義母さんなので私自身嫁という立場ですが、同居にはなんの抵抗もありませんでしたよ」と、ろりえさん。ゆにちゃんもおじいちゃんおばあちゃんやおじさんがいつも遊んでくれて、楽しそうです。

だまこ鍋の湯気にのって、ぽかぽかとした、大家族の幸せを感じるひととき、ごちそうさまでした!

ご自慢のキッチンに立つ大久保ろりえさん。ご主人とジョギングを楽しむ健康美人です。

「八雲 みんなの家」施主
『伊佐通信』6号(2016年)より転載
※内容は掲載時のものです

だまこ鍋

材料(6人分)
  • とりガラスープ … 2ℓ
  • しょうゆ … 100cc
  • 料理酒 … 50cc
  • とり肉 … 350g
  • ごぼう … 2本
  • 舞茸 … 2パック
  • ネギ … 2本
  • だまこ … ご飯4合分
  • 糸こんにゃく … 1パック
  • 油揚げ … 1枚
  • せり(根付き) … 1束
つくりかた
  1. とりガラで出汁をとってスープをつくり、冷ましておく。
  2. ごはんはすりこぎなどで粗く 潰して丸め、200℃のオーブンで20分ほど焼いておく。
  3. とりガラスープにささがきしたごぼうを入れ、次に適当な大きさにさいた舞茸を入れる。
  4. 煮立ったらしょうゆを投入。
  5. 一口大に切ったとり肉を入れ、肉に火が通ったら糸こんにゃくと細めの短冊切りにした油揚げを入れる。
  6. だまことネギを入れ、フタをして少し煮込む。
  7. 香りづけと味をまろやかにするために料理酒を入れる。
  8. 食べる直前に、根付きのまま5cm程度に切ったセリをこんもりと載せて出来上がり。

にんじんしりしり

材料(4〜6人分)
  • にんじん … 大1本
  • じゃこ … 大さじ3くらい
  • 卵 … 2個
  • 酒、みりん、しょうゆ … 各大さじ1
  • サラダ油 … 大さじ1
つくりかた
  1. フライパンに、サラダ油を入れて千切りにしたにんじんを強火で炒める。
  2. にんじんに火が通ったら、じゃこを入れる。
  3. ここで味付け。酒、みりん、しょうゆの順に入れる。
  4. 最後に溶いた卵を回し入れ、半熟状態で火を止める。