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津金二葉さんの「なすのドライカレー」

20年来つくり続けてきた
家族みんなのお気に入り

20年来つくり続けてきた
家族みんなのお気に入り

明るく気持ちいいキッチンに漂う、食欲をそそるスパイスの香り。
結婚祝いのレシピ本で知って以来、いつしか定番になったという野菜たっぷりのドライカレーは、
ご主人や息子さんたちも大好物!
「いらっしゃる前に料理を完成しておくつもりだったのに、まだ途中なんですよ〜」
足元を草花が彩る気持ちのいいアプローチを通って津金さん宅の玄関に着くと、奥さまの二葉さんがカラカラッとはじけるような笑顔で迎えてくれました。

「すぐ出来上がるから大丈夫。キッチンに戻りますね〜」
ではでは一緒にキッチンに行って、お料理の様子を見せていただきましょう!

隣家との視線を考慮し、アプローチの奥に玄関を設けています。涼やかな植栽はご夫妻のご友人の手によるもの。

案内いただいて2階に上がると、そこはゆったりと縦長につくったLDKです。リビングのバルコニーの外には、向かいの木々の緑がたわわに広がっています。キッチンも2方向に窓があり、明るさ抜群。
「ここに15年近く住んできて、光線の方向もよくわかっていたから、ここに窓をつけようと決めていました。おかげですごく気持ちよくお料理できるんですよ」

2階にあるLDK。正面の窓の外にはキリスト教系施設の敷地の豊かな緑が目を楽しませてくれます。

津金さん一家がこの土地を購入したとき、敷地にはログハウス風の木の家がありました。つくりが面白くて、そのまま住み継いだのですが、やがて傷みが進み、冬の寒さもつらくて建て替えを決めたのだそうです。

以前は1階の奥にあって、いつも暗かったキッチンが、LDとつながるオープンな場になったことで暮らし方も一変しました。
「今は主人と息子たちも食器の上げ下げや洗いものをするし、料理も手伝ってくれます。家族の距離がぐんと近づいた感じです」

リビングからキッチンを見たところ。窓の配置や天井の傾斜もよく検討して設計されています。

話しながら二葉さんはひき肉を炒め、玉ねぎを加え……。いい匂いがしてきました。
なすのドライカレーです。なすを揚げておけば、あとは炒め合わせるだけなので確かにパパッとつくれそう。18歳と15歳の息子さんたちも大好きな料理です。

平日は大学で教鞭を取る二葉さん。
「時間がないときによく登場するのがコレ。男子って丼ものが好きでしょ。いろんな野菜もしっかり食べて欲しいですからね」
ご主人の榮則さんも、「本当においしいんですよ。何度食べても飽きません」としあわせそうです。

左手の玄関扉を入ると、奥側が2階LDKへの階段、手前側には半地下に降りる階段があります。傾斜地に建つゆえの工夫です。

天井に蒲芯を張り、壁は聚楽土で仕上げた和室はしっとり落ち着いた茶室風の雰囲気。普段は寝室として布団を敷いて使用されています。入り口には二葉さんがお父さまから譲り受けたという絵が。

半地下には小ぶりのグランドピアノ。ピアノ教師をなさっていた二葉さんのお母さまが、近所のお住まいから毎日通って弾いてらっしゃるとか。二葉さんと息子さんたちも弾くそうです。このフロアにはガレージや浴室もあります。

実はこのドライカレー、つくり続けてもう20数年。結婚祝いにもらった栗原はるみさんの本『もう一度、ごちそうさまがききたくて』に載っていたレシピです。材料のひとつとしてカレーペーストを使いますが、二葉さんはお気に入りの「デリー」のペーストを長年愛用。「茅乃舎」の野菜だしを加えるのも独自のアレンジです。

鍋にはスープもことこと煮えています。こちらもキャベツやにんじん、トマト、ごぼう、かぶ、じゃがいもなど野菜たっぷり。

「はーい、出来ましたよ」
ごはんにドライカレーをのせ、スープを添えて。水菜としば漬けを合わせたユニークなサラダもいつの間にかテーブルに並んでいます。段取りの素早さは流石!

大学で英語を教えている二葉さん。

「せっかくだからワインも開けましょう」と、グラスを用意してくださる榮則さん。
乾杯!早速いただきます。

野菜がたっぷりいただける、彩り豊かな組み合わせです。

スパイスの香り高いドライカレーは、ごはんが進むこと!!
とろっとしたなすと、シャキシャキの玉ねぎやピーマンの歯応えがなんとも魅力的です。いっぽう野菜スープは舌をなごませる穏やかな滋味。おろししょうがを入れて味を変化させるのもおもしろいところです。そしてサラダ。しば漬けと塩昆布の和風味は、白ワインだけでなく日本酒にも合いそう。3品のコンビネーションのよさに感服せざるを得ません。

今回、このページにご登場いただくにあたって津金家では「うちの十八番って何?」と家族会議を開いたそうです。結論はなかなか出ませんでした。それは、二葉さんが拵える料理がどれもおいしいから。
榮則さんは「いろいろつくるよね。だからこれこそ十八番っていうのがないんだな」。

なすのドライカレーは、家族みんなが愛してきた味のひとつ。きっとおいしくつくれます。ぜひお試しください!

設計を担当させていただいた青木一俊(右)と乾杯!竣工後もよいお付き合いが続き、お訪ねするたびにご夫妻と共に杯を傾けるのが楽しみです。

「窓いっぱい緑の家」施主
『伊佐通信』9号(2017年)より転載
※内容は掲載時のものです

なすのドライカレー

材料(4人分)
  • 牛ひき肉 … 400g
  • なす … 6個
  • 玉ねぎ … 1個
  • ピーマン … 2個
  • 調味料A … カレーペースト1/2カップ、トマトケチャップ・とんかつソース各大さじ1、しょうゆ小さじ1
  • 野菜だし … 1パック
  • サラダ油 … 大さじ2
  • 塩、こしょう、揚げ油 … 適量
つくりかた
  1. なすは1cmの厚さの輪切りにして、水にさらす。水分をふき取ってから、フライパンに揚げ油を170°Cに熱して少し焦げ目がつくくらい揚げておく。
  2. フライパンにサラダ油を引き、牛ひき肉を炒める。(写真❶)
  3. ひき肉の色が変わってきたら、粗みじん切りにした玉ねぎを加えて軽く炒める。(写真❷)
  4. 調味料Aと野菜だし(パックを切って中身だけ)を入れてよく混ぜ、少し煮つめる。(写真❸)
  5. なすと粗みじん切りのピーマンを加えて、ピーマンが軟らかくなりすぎないうちに塩とこしょうで味をととのえて出来上がり。ごはんと一緒に盛り付ける。(写真❹)

こちらもおすすめ!

水菜に刻んだしば漬けと塩昆布、ごま油、すりごまを混ぜたサラダ。

ベーコンといろんな野菜を「茅乃舎」の野菜だしで煮込んだスープ。コーンスターチでとろみをつけ、おろししょうがを添えていただきます。