小川糸さん
小説家
「上祖師谷の家」施主
小説家
「上祖師谷の家」施主
作品を書くことは暮らしの営みの一部
だから心地よさが大切
「柚子を煮るときに丁字を入れるんです。砂糖はほんの少しでも甘さは十分」。
そうほほえんだ糸さんは、愛用の鉄瓶から白いカップにお湯を注ぎました。ほのかな甘さとスパイシーな香りに心も体も温まります。
伊佐ホームズは糸さんのお住まいのキッチンやリビング、仕事場を2013年にリフォームしました。時とともに味わい深くなる漆喰の壁や無垢の木の床、そして北欧の木の椅子のように、暮らしに対するご自身の考え方とインテリアがしっくりとなじんできた、と糸さんはおっしゃいます。
このお住まいでの日々を中心とした糸さんのライフスタイルを美しい写真と文章で紹介する書籍『これだけで、幸せ』が2015年11月に発売されました。
数は少なくとも一生愛せるものを手元に置く豊かさや、洋服から寝具まで軽さや心地よさにこだわって選ぶことなど、糸さんが暮らしの“芯”として大切にしていることが描かれています。
お料理上手な糸さんらしく、キッチンまわりのものとの出会いや、「壊れたら直せること」「つくり手の背景や伝統の確かさが感じられること」といった、もの選びの基準から本書ははじまります。
壁にかけた手織りの木綿のふきんや、旅先で見つけたカトラリーなど、糸さんの暮らしの一端に触れる写真が多数掲載されているのも魅力です。
軽やかな木の器や、金継ぎしながらお気に入りの骨董を使うことを楽しみ、ほのかな明るさを楽しむLEDの照明器具を見つけたり。具体的なブランド名で紹介するのではなく、暮らし方や考え方をご自身の目線で語ったこの本が、それぞれの読者の方らしい生活を築くきっかけとなれば、と糸さんは話します。
「小説を書くことは身体全体を使うこと。だから住まいは心地良い環境にしたいんです」と糸さん。仕事が暮らしとともによどみなく流れることへのこだわりは、良いものを届けたいという思いでもあるのです。
—『伊佐通信』6号(2016年)より転載—
※内容は掲載時のものです
小川糸(おがわ・いと)
小説家。2008年発表の『食堂かたつむり』(ポプラ社)が映画化され、ベストセラーに。主な著書に『ファミリーツリー』『リボン』(ともにポプラ文庫)、『つるかめ助産院』(集英社文庫)、『サーカスの夜に』(新潮社)がある。最新作は、『小鳥とリムジン』(ポプラ社)。
糸通信【小川糸】公式サイト
糸さんのライフスタイルを、『これだけで、幸せ』を軸に
感じていただく企画展を開催しました(2016年3月)。
『これだけで、幸せ』の世界を糸さんが選んだ道具や家具などで表現。北欧家具やインテリアアイテムの展示と、糸さんとゲストの方をお迎えしたお話の会も同時開催しました。
「これだけで、幸せ」展
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