住宅であっても店舗や公共空間であっても、そこで時を過ごす人々の暮らしや体験は豊かで美しくありたい。建築とはそのための総合芸術であると考えます。
いちばん大切なのは、普遍的で質実な空間であることです。
その基本があれば、時代に応じて変化していくことができます。
私たちが目指すのは、先人に学びつつ、現代の生活様式に適う家。
豊かな暮らしを育む間取りを計画し、素材をひとつひとつ吟味し、質の高い設計力で、美しい空間を創造いたします。
家の外観は耐久性を第一義に、シンプルに。
緑や自然素材を採り入れて、周辺の街並みに、心安らぐ潤いを与えるものがよいと考えます。
アプローチは道路と玄関との心理的な距離を生み出し、住まいに向かう気持ちを切り替える場所です。
あえて動線を長くする、植栽を設けるなど、アプローチに何気ない工夫を凝らします。
内部と外部がゆるやかに繋がっていることは、日本の住宅の特徴です。縁側、広い土間、軒下など、「間」の空間があることで、視覚だけではなく、機能や実用面でも豊かさが生まれます。
自然を感じられる家にするためには、庭の存在が重要です。1本の木が在ることで季節を感じ、その樹影で時間の変化も感じられます。
家は、常に庭と一体で設計します。
柱、梁と桁、小屋組という架構を主体とするのが日本の木造建築です。
現代では、それらは壁や天井に隠されてしまうことが多いのですが、可能な場合は、美しい架構を見せるように設計します。
庭との関係、外部との一体感、採光、通風など、開口部は、さまざまな要素を持ちます。
プライバシーや防犯、熱損失の問題もありますので、細心の注意を払って設計します。
部屋と部屋を繋ぐ廊下、階段。縁側、テラス、土間。
それらは、視線や光を導く機能も持ちます。
繋がりの空間を丁寧に設計することで、家の表情もぐっと豊かになります。
家族それぞれが、家の中でどう動くのか。
生活に視点から合理的な動線を考えながら、空間としてのまとまりや美しさを犠牲にしない間取りを考えていきます。