90歳以上の方に「お好きな字を」とお願いし、お書きいただいた書を展覧する「長寿を言祝ぐ書」展。13日(土)からの会期を前にたくさんの作品が到着しており、筒を開けるたびにスタッフ一同で感動しております。
みなさま、それぞれ字が素晴らしいのはもちろん、書いていらっしゃる言葉がなんとも奥深いのです。ご紹介したいのは山々ですが、どうか、会場で出会っていただければと思います。
そして、もうひとつお知らせがございます。第五回を迎える今回は、「早川重章展」を同時開催いたします。
早川先生は1924年山梨県生まれ。90歳になられた現在も、毎日絵筆を握り、作品を生み出し続けていらっしゃいます。
ギャラリー櫟の企画担当、金子京子は、その作品に触れたとたん、「涙が溢れてきた」そうです。「なぜかわからないけれど、その作品の線や色彩から、その奥にある集積の鼓動を感じ、強く揺さぶられてしまった」。歓びと哀しみ、情熱と静穏、明と暗、希望と永遠、その絵には両方がある、そんな絵に出会ったのは初めてだった、と。
先生がずっと描いているのは、いわゆる抽象絵画。ほとんどの作品は無題です。先生ご自身、「描く線が行き着く先は、自分でもわからない」とおっしゃいます。ただひたすら満足できる作品を追い求めて、日々、格闘を続けているのです。
今回は、過去の作品も数点交えつつ、近作を中心に展覧いたします。
ぜひ、実物の絵に触れていただきたいと思います。
初日には、早川先生を囲む会も開きますので、ご予約の上、ご来場をお待ち申し上げております。
新・日本ぐらし 探求者たち 54
第五回 「長寿を言祝ぐ書」展
連携企画 「九十歳の画家 早川重章展」
平成26年9月13日(土)〜9月30日(火)
10時30分〜17時30分 最終日は16時まで 水曜休廊
◎期間中の催し
初日の集い 9月13日(土) 15時〜17時
今展の初日に、早川先生を囲んでひとときを過ごす会を開きます。
プロフィール
はやかわ・しげあき
1924年山梨生まれ。1944年日本美術学校に学ぶ。1968年に渡米し、1977年帰国。鎌倉と八ヶ岳のふたつのアトリエで制作活動を続け、現在に至る。1991年山梨県立美術館、2004年神奈川県立近代美術館をはじめ、展覧会、個展、グループ展多数。
ご自身の作品に囲まれた鎌倉のアトリエにて。撮影:長田朋子